福岡県ジュニアサッカー少年死亡事故(3)

スポーツペアレンツジャパンからいくつか質問をさせていただきました。

 

Q:息子さんの、死因はなんだったでしょうか?
A:致死性不整脈、蘇生後低酸素脳症です。


Q: 倒れた時の原因は、心室細動、だったのでしょうか?救急車がくるまでは、どのような症状だったのでしょうか?呼吸や脈などは正常でしたか?

意識はどうでしょう?
A:心室細動です。救急車がくるまで、呼吸はありませんでした(1分間に6回程度の喘ぐような呼吸)、脈拍確認できず、意識不明、全身蒼白、唇も紫色だったようです。


Q:グランドにてAED処置がされていれば、もしくは、心臓マッサージを行っていれば、助かった可能性もある、というようなことは医師から言われましたか?
A:AEDについて、施設の建物にはAEDが設置されていましたし、施設の方が119番電話中AEDを使用して下さいとの指示を受け施設設置のAEDを渡していましたが使用されませんでした。

心臓マッサージも柔らかいソファーの上で行われました。救急隊到着時AED処置がなされ少し回復した、という事はもっと早くAED処置がなせれていれば、きちんとした心臓マッサージがなされていれば、もっと早く救急車要請がなされていれば回復は期待できたと医師からは聞きました。

 

Q:チームはその後、再発防止のための対策や指導員への教育など、具体的な行動はとりましたでしょうか?会社側からの説明はありましたでしょうか?

A:事故後、まだクラブを続けていた子の保護者から聞いた話によると何ら説明もなかったし、何らかの対策が行われているという事も感じなかった、それより大会時には保護者に大会時事故が起きてもクラブには責任を負いません、安全に関して保護者にて管理してくださいという旨の書類にサインをさせられるという話を聞きました(訴訟前)。 私達には今だ何の説明もありません。

和解時に、裁判長が今回の事故の詳細、今後の対策についてホームページ等にて公表を会社に依頼すると聞いておりましたがホームページにはそのような事はまだ何も書かれておりません。株主宛に和解したという事と当社業務への影響は軽微ですという事を記載されています。


Q:在籍されているその他の保護者の方から安全管理に対する声が上がった、というようなことはありましたか?

A:なかったと思います。

 

Q:根本的な問題は何だと思われますか?
 

息子は大好きなサッカーを指導員の指示に従い一生懸命プレーし事故は起こりました。当時小学3年生(9才)で自分の体に重大な危険が近づいている事も理解できていなかったと思いますし、大人の指導員に自分の身体の状況を説明する事も難しかった事と思います。

 

日頃試合の合間はチームで集まり他の試合を観戦、ミーティングなどで保護者のところに行く事はありませんでした(子供達は保護者のところに行きにくいと言っておりました)ので母親にも言えなかったと思います。

 

子どものスポーツ指導を運営する会社は、まず第一に子供達が安全にスポーツをできる環境を整える事が大事だと思います。技術や何だという事はその次だと思います。

私は専門家ではありませんので安全配慮について詳しい事は分かりませんが、息子が体調不良を指導員に訴えた時にどのようにキツイのか?聴きもしない、触診もしない、誰にも相談しない・・・確認もせず試合に出し続け、倒れた時も適切な処置の方法が分からないなど、素人の私達でも分かるような事でもできていないという事、このような指導員がいまだ沢山の子供達の指導にあたっている事が非常に問題だと思います。

 

Q:再発予防のためには、何が大切だとお父様は考えられますか?

A:

1.指導員による、安全が第一という意識付け
2.指導員全員に対し、子供の心、身体について大人とは違うという事についての教育、救急救命の講習受講(定期的に)、日頃の指導
3.指導について、全国的に義務付けされたガイドラインの作成、実施
4.保護者もこのようなことが起きうるということを知り、クラブの運営を見守る

 
ありがとうございました。
 
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何より悔やまれるのは、その現場でAEDを操作し、もっと早く救急車を呼んでいてくれたら!ということです。

 

その現場にいた大人達が、「心室細動を起こしているかもしれない!」と気付けば、この9歳の男の子の命を救えたかもしれない!ということ、です。

その現場にAEDがあったのに!

 

お父様が取材に協力してくださったのは、二度と同じ様なことが起きてはいけない!同じような思いを他の親御さんに味わってほしくない!という強いお気持ちから、です。

そしてスポーツペアレンツジャパンがこのようにスポーツ事故をとりあげるのも、再発予防とスポーツ現場でのすべての大人達の意識改革が目的です。

 

スポーツで事故は起こります。

 

皆さんのチームは「安全」ですか?

子ども達の「万が一」における備えは万全ですか?

スポーツ現場での子ども達の命は誰が守りますか?

 

現場の安全管理の確保はもちろんチーム監督者の責任、そしてそれを管理徹底するのは所属スポーツ団体や協会の責務ですが、それらがきちんと行われているか?を確認できるのは、特にジュニア世代では親しかいないのかもしれません。

トップダウンには限界があります。

 

声をあげるのには勇気がいります。そして再発予防の訴えと実現には根気が必要です。

 

ですが、誰かが発信しなければ、誰かが動かなければ、事態は改善しないのです。我々は知らなければいけません。そして起きた事実を検証し、原因を調べ、現場でできる対策を考え、情報をシェアし、再発予防のために行動しなければなりません。

 

取材にご協力いただいたお父様より。【メッセージを送って下さったみなさまへ】

 

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