ASUKAモデル

 
駅伝の練習中に突然倒れ、意識を失った明日香さん。
 
学校には教員も多くいて、AEDもあったにもかかわらず、救急車が到着する11分の間、何も救命処置はされませんでした。
 
 
何故?
 
何が問題だったのか?
 
 
検証に検証を重ねた結果、明日香ちゃんが倒れた時、「死戦期呼吸*」があり、教員たちはそれを「呼吸あり」と間違った判断をしてしまい、AEDも胸骨圧迫もされないまま、ただ救急隊員の到着を保健室で待っていただけだった、という事が分かりました。
 
 
*死戦期呼吸:心停止後、呼吸の機能が失われるときに表れるもので、あえぐような呼吸。普段通りの呼吸ではないので、すぐに救命処置が必要となる。
 
 
また、倒れた直後に明日香さんは意識を失っていたにもかかわらず、先生達はすぐに救急車を呼ばず保健室に運んでしまいました。
 
 
桐田さんはさいたま市の教育委員会と協力し、二度と同じことを起こさないためにどうしたらよいのか?と取り組み生まれたのが
 
 
です。
 
 
桐田さんはおっしゃいます。
 
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講習会や講演会に呼ばれ、これまでの事をお話しする機会はたくさんありました。しかし、大切な娘が亡くなってしまって悲しいです、悔しいです、で終わらせてはいけない、と気づいたのです。
 
どうしたら防げるのか?そのために私たちは何を伝えるべきなのか?何を知ってほしいのか?
 
・・・ということを、真剣に話し合い、対策を練り、取り組み、そしてそれを広く普及していかなくてはいけないのです。
 
悲しい経験をした私たち家族だからこそ、伝えられることが、届けられる思いがあるのでは?と思いました。
 
 
私たち家族は、「教師の誰かがAEDを使ってさえくれれば、すぐに救急車を呼んで胸骨圧迫を開始してくれれば、明日香は死なずに済んだのに!」と、傷つき、苦しみ、悔しい思いもたくさんしました。
 
 
明日香を失った直後、私達遺族は学校や教育委員会の対応に、心を痛めていました。
 
 
しかし、そんな中、「人として」心から誠意ある対応をして下さった方が、桐淵教育長(さいたま市)でした。
 
 
「大切なお子さんを元気に家庭にお返ししてさしあげることが教育関係者として何よりも大切なこと、なのに、それができずに本当に申し訳ありません。」
 
 
教育委員会の中にも、こんな風に対応してくださる方がいるんだ!
 
暗闇の中で苦しんでいた私たち家族にとって、救いの存在となってくれました。
 
 
ともすれば、対立の関係にある教育委員会と共に、再発予防のために協力しよう、と思えたのも、桐淵教育長の存在があったからこそ、と言っても過言ではありません。
 
人は心の中に作り上げた空間に基づき、それを正しいと思って行動する。しかも、見たいものだけを作り上げることがある」という人間の特性を踏まえ、ヒューマンエラーを減らし、より現場で活かされるものをつくろうと、事故分析を行い、その対応策として抽出した一つが「ASUKAモデル」となるテキストです。
 
平成26年1月に改定されたテキストには、「解説」となるテキストを教育委員会で新たに作成しました。
一次救命だけでなく、アナフィラキシーショックや体育活動時における熱中症の対応についても記載されています。
 
私たちの活動の原点は、「明日香が望むことは何だろう?」ということ、です。
 
 
明日香が望むこと・・・それは大切なお友達を守る、ということです。
 
 

明日香の願う「みんなを守れる学校・社会」につながるよう、私は、ASUKAモデルの全国への発信と共に、その場にいるあなたにしか出来ない勇気と行動が尊い命を救う力になることを、これからも、明日香と一緒に伝えていきたいと思います。

 
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最後に、桐田さんから頂いた資料の中から、明日香さんが桐田さんのお姉様が亡くなられた後に書いた詩をご紹介します。
 
 
 
あなたに伝えたいこと
 
あなたがいなくなっても、わたしはあなたといっしょに、一歩ずつ歩んでいきます。
 
あなたは私の心の中で、いっしょに生きています。
 
これからも、みんなを暖かく見守ってください。
 
by 明日香
 
 
 
 
 
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