工藤剣太君お母様のお話し

お子さんを亡くしてもなお、気丈に再発防止のため活動をされている工藤さんご夫妻の行動は、本当に胸を打たれます。

 

この度、剣太君のお母様の奈美さんと直接メールのやり取りをさせていただき、いくつかの質問にお答えいただきましたので、ご紹介いたします。

 

(スポーツペアレンツジャパン)

これまで部の活動に疑問を感じたり、厳しすぎるのでは?という不満など、剣太君はお話しされたことがありましたか?

また、他の部員の保護者間で問題にあがったりしましたか?

 

(工藤奈美さん)

・亡くなる少し前、剣太が帰宅しお風呂に入る為 下着だけの状態になった時、両方の太股に15cmくらいのミミズ腫れがあるのを私が見つけました。

その時は、私の実の姉も一緒で彼女も目撃しています。

「剣太!どうしたん!」と私が尋ねると剣太は笑って答えてくれませんでしたが、弟・風音が「先生にシバかれた痕や!」と言い

ました。「えっ!何で!」という私の声に、剣太は「俺、キャプテンやけんしょうがねんで。」と言っていました。

 

(剣太の会 東京開催の際の写真 2013年 9月7日)

 

・剣太が主人に「先生の質問には答えが幾つかある。何を答えても怒られる。」「どうして、先生に怒られているのか意味がわからない…」ともらしたそうです。

 

・剣太が亡くなる少し前、竹田高校主催の合同合宿がありました。

竹田高校の主将である剣太が号令をかけるはずなのに、全く別の部員に号令をかけさせたり、主将が挨拶するところをまた別の部員にさせたりと精神的にも追い詰めていました。

よく「お前みたいなキャプテンは見た事が無い!」とか「お前は精神的に弱い!」という言葉を言われていたようです。

(部員証言)

 

・部員の保護者が練習の見学に行っていた時、顧問が剣太に対する指導が酷過ぎて「殺されるのではないか!」と不安を感じ主人の携帯の番号を画面上に出し何かあればすぐに連絡が取れるようにしていた。との証言がありました。

 

・主人に対し「お父さん。練習を見に来ないでほしい。お父さんが来ると先生の当たりが酷くなる。」と言ったそうです。

 

・剣太と弟・風音に対し顧問は面を外した状態で木刀のツバの部分で頭を12発ずつ叩いた。

 

・剣太は2年生でしたが、その試合では1年生と2年生で試合会場が違うというものでした。部員の保護者が1年生の会場に現れた剣太に対し「剣太!お前どうしてここにいるんだ!」と言うと「はい。わかりません。先生がお前は1年の試合会場に行け!と言われました。」と答えたそうです。

 

・アレルギー性鼻炎を患っている風音は鼻からの呼吸がし辛く、部活終了前の顧問の話を正座をし苦しかった為口を開けて呼吸していると「何をふざけている!!」と両手で頬をビンタされました。

・・・まだまだ小さい事はたくさんあります。

 

(スポーツペアレンツジャパン)

現在の部活動の安全管理体制は十分でしょうか?再発を起こさないために、日本における学校の部活動は、今後どのようになっていくことが理想だと思われますか?

 

(工藤奈美さん)

私たちが一番恐れているのは「部活の私物化」です。

顧問が自分の名を売るため、自分のやり方で試合をやらせようとする。それができなければ怒る・殴る・蹴るといった行動をとるのです。

それは、子どもを成長させる教育の一貫ではなく、生徒は顧問の名をあげる道具になってしまうのです。

 

剣道でも素晴らしい指導者の方はたくさん居られます。

主人も弟・風音も、妹・梨香子も竹刀を握ることができなくなりましたが剣道を怨んではいません。しかし絶対服従の師弟関係の中で顧問に対し全く逆らう事ができない状態である部活動が存在するのも事実です。

竹田高校でも剣太が亡くなり校長先生も何人か代わる中、武道場のような個室で行う部活動(個室に関わらず他の部活動も)を教頭先生が見回るという事を実践しているとお聞きしました。

 

この顧問は、以前いた学校でも暴力行為を行っていました。

そんな教員を何も知らせず僻地の学校へ転任させました。この件で教育委員会に申し出た保護者がいたからです。その保護者は「この教員にはもう一人見張りを付けてほしい!子どもと二人きりにさせないでほしい!」と訴えました。その保護者に対し「大丈夫ですよ。他の学校へ転任させましたから・・・竹田高校に・・・。」と言ったそうです。その4カ月後に剣太は殺されました。

 

その事実は当時の校長も知らなかったと言っていました。

危険教師を部活動に関わらせてはいけません。(恐ろしい事実です。)

 

(スポーツペアレンツジャパン)

我々保護者は何ができるでしょう?

 

(工藤奈美さん)

持ち回りででも部活動の見学に行ければ危険は防げると思います。

 

最後にメッセージをお願いします。

 

私たちは、息子を亡くしてから色んな事実を知る事となりました。

息子からの危険信号もあったはずなのに、もっと早く対応できていたらと悔やんでも悔やみきれません。

親は、子どもが頑張っていると思えば口をはさむ事を躊躇します。

 

しかし子ども自身にも言いたいです。「危険を感じたら『逃げて!』」と。

 

剣太は真面目に顧問の言う事を聞き忠実でいようとしました。そして命まで落とすことになったのです。

ですから後で「卑怯だ!」とか「お前はだらけている!」と言われても命を落とす事はありません。自分自身を守ってください。

 

それと、「熱中症」は防げます!

早い段階で気付けば死ぬことは100%ないのです。

 

こまめな休憩や水分補給ができていれば熱中症の予防になります。

熱中症で亡くなる子を「0」にしてください。

顧問・副顧問の先生や周りの部員が早期に異変に気付いてあげてください。その子の「目」を見ればわかると思います。

 

先生方!一人ひとりの子ども達を見てあげてください。

 

「甘い指導をしてください。」と言っている訳ではありません。厳しい中でも愛情を持って下さい。

部活動は教育の一貫です。死ぬまで鍛える必要はないのです!

 

工藤奈美さん、ありがとうございました。

この度のご協力、貴重な資料やお写真のご提供に心より感謝申し上げます。

 

「剣太の会」にはフェイスブックページがあります。皆様ぜひいいね!を押して工藤様の活動を応援いたしましょう。

 

*沢山の応援メッセージありがとうございました。この度メッセージ受付は一旦終了させていただき、皆さまのお声が直接届くように、「剣太の会」のフェイスブックページをリンクすることに変更いたしました。

これまでスポーツペアレンツジャパンに寄せていただいた工藤さんへの応援メッセージに対して、剣太君のお母様奈美様よりお預かりしたお礼文をこちらに転記させていただきました。

工藤奈美さんからメッセージを送って下さったみなさまへ

 

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