アスレティックトレーナー 一原氏インタビュー(3)

<スポーツ・セーフティ分野との関わりについて>

 

Q:スポーツ・セーフティ分野についてさらに知識を深めたいと渡米した一原トレーナーですが、アメリカでは現在どういう状況でしょうか?

A:まずアメリカのハワイの大学に入って、その後本土の大学にトランスファー(編入)したんですけど、ハワイでは全高校に1名という体制でしたが、実は本土では当時は半分以下くらいしかアスレティックトレーナーは高校に配備されていなかったんです。

ハワイにいたころは、この体制をどのように日本に持って帰られるか?という事も考えたりしていましたが、実際本土の状況を見たら半分以下だった。

アメリカで半分以下なら、日本にハワイのようなやり方をそのまま導入しようとすることは非常に難しいのでは?と考えるようになってきたのです。

それから、スポーツ・セーフティの分野で活動している団体、NPOなど、彼らがどのような活動をしているのかという事を調べ始めてみると、アスレティックトレーナーを配置していく、ということはなかなかハードルが高いようで、多くは「教育」という方面の充実を図っていることが分かってきたんです。

 

Q:具体的にはどういったことでしょう?

A:例えば、eラーニングのようなプログラムを作成して、スポーツ・セーフティの研修受講をマストにし、その研修を受けなければコーチングができない、フィールドには立てないという決まりを徹底する、というようなものです。

アスレティックトレーナーが学校に配置されるのはもちろん理想ですが、まずは現場で指導している人たちの教育を徹底していく、というものであれば、日本にも導入できるのでは?と思いました。

 

Q:なるほど、国内では今後、スポーツペアレンツジャパンでも取材させていただいた、スポーツセーフティジャパンさんが主導権を取って進めて行ってくれるといいですね。現在アプリなどは販売されていますし。

A:そうですね。私も帰国したら何かの形で関わっていきたいと思っています。

 

Q:日米におけるスポーツ・セーフティの差、のようなものは具体的にどのようなことがあると思われますか?

A:危機管理意識、という点でしょうか?例えばトレーナーのいない現場でもし何かが起こった時、対応するのは誰なのか?という事を考えると、やはりそこは指導者なわけです。そしてその時にやるべきこと、するべきことをきちんとできるのか?という意識は、やはりアメリカの指導者の方の方が高いのかな、という感じはします。

理由としてはもちろん、アメリカが訴訟社会で、何かの際に身を守るためにもまずは最低限のことを知っておかないと自分自身の立場が危なくなることもある、からなのですが・・・。

でもこれは日米関係なく、もし何かが起こった時、指導者としての責任を問われる、という事はあると思います。

 

Q:一次救命、というようなことでしょうか?

A:それはもちろんですね。一次救命、AEDの使用法などは最低限のところです。

 

<具体的な対応について>

 

Q:夏のスポーツに多発する熱中症ですが、トレーナーとして徹底している予防法などがあれば教えてください。また事前に準備しているものや対応時用に常備しているもの、選手への教育なども含め注意して見ている点を教えてください。

A:まずシーズンが始まる前に選手たちに対して話をしますね。

 

Q:どんなことをお話しされるのですか?

A: まず練習前後の体重のチェックをきちんとするように、ということ。練習前に体重をチェックしない場合はもう一度戻って計らせます。  そして一般的なことですがこまめな水分補給の徹底、尿の色のチェックについて、そして食事、特に朝食は抜いてこないように、あとは睡眠です。

熱中症の原因で最近多いな、と感じるのは睡眠不足です。

 

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