専門家インタビュー

早稲田大学大学院 スポーツ科学研究科 大伴氏(5)

Q:復帰までには医師の許可を受けた方が良いとは思いますが、脳神経外科医師ならどなたでもスポーツ復帰のプロセスに精通されていますか?

A:残念ながら、全ての医師が精通されているとは言えません。

 

Q:病院や医師を選ぶ分かりやすい基準のようなものがあれば教えてください。

A:基本的には脳神経外科がいいのですが、日本体育協会のスポーツドクターの方は整形外科医でも比較的脳震とうについて把握されている方がいます。ですが脳に重篤な傷害が起きた場合、脳神経外科医の先生による処置が絶対必要なので、まずは脳神経外科を受診することをお勧めします。

 

Q:復帰プロセスのスタンダードについて教えてください。

A:まず症状が完全に無くなってから、がスタートだ、ということを覚えてください。その後、軽い運動から始めてみます。いきなり練習に参加することは危険です。段階を追って競技に復帰します。(*GRTP)

 

*GRTP:Graduated Return To Play (段階的競技復帰)

 

ラグビー協会のリンク先はこちら GRTPの詳細もチェックできます。

https://www.rugby-japan.jp/about/committee/safe/concussion2012/guideline/guideline.pdf

 

以下、ラグビー協会HPより「IRB 脳震とうガイドライン」で紹介されているGRTPの記事をスポーツペアレンツジャパンにて一部抜粋してご紹介します。

 

≪GRTPプロトコル≫

(医師の管理がない場合)

内容:①リハビリ段階 ②リハビリ段階での機能的運動 ③各段階の目標

レベル1

①受傷後14日間経過するまではいかなる活動も禁止。

②心身の休養。無症状であること

③リカバリー

↓(24時間症状が出なければ次へ)

レベル2

①軽い有酸素運動を開始。

②最大心拍数70%未満のウォーキング、水泳、固定の自転車など。レジスタンス運動は禁止。

③心拍数を上げる事

↓(24時間症状がでなけければ次へ)

レベル3

①スポーツ固有の運動を開始。

②ランニング・ドリル、頭部に衝撃を与える運動は禁止

③運動を増やすこと

↓(24時間症状がなければ次へ)

レベル4

①コンタクトのない練習ドリル実施

②より複雑な練習に進む。漸進的に負荷トレーニングも開始。

③練習、調整、心的負荷

↓(24時間症状がなければ次へ)

レベル5

①フル・コンタクト練習実施

②医師の許可後に通常のトレーニング開始

③プレーヤーに自信を取り戻させ、コーチング・スタッフによって機能的スキルを評価すること。

↓(24時間症状がなければ次へ)

レベル6

①24時間経過後、競技に復帰

②プレーヤー復帰

③回復

 

と、見ていただいて分かるように、痛みや症状が消失したから復帰、とはいきません。脳震とうにおいては、段階を踏んで慎重に復帰させていくことが非常に重要です。

 

最後に、Best sports parentsを目指して!宣言をお願いします!

子どもたちのスポーツにおける脳震とうにおいて、保護者の方にできる事は、結構あります。まずは脳震とうについて知ること、そして指導者との情報共有なども大切です。

また指導をされている方は、プレー中に気になることがあれば必ず保護者の方にそのことを伝えてください。

加えて自己判断は危険です。

本日お話しした脳震とうの症状があれば、きちんと病院に連れて行ってください。

 

 

 

動画では早稲田大学スポーツ科学クリニックの様子を撮影させていただきました。(メルマガ読者先行配信)

 

大伴さん、ありがとうございました!増々のご活躍を応援しています。

 

>(

 

 

Preventing Sudden Death in Sport and Physical Activity

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